漫画家じゃんぽ~る西さん 日仏からの共感の秘訣

 フランスと日本の日常を描く人気漫画家、じゃんぽ〜る西氏。パリでワーキングホリデーを経験後、現在はフランス人の妻と息子の3人で日本に暮らす同氏が、異文化を経験する意義を語った。

 

■フランスとの出会いを教えてください。

 学生時代にフランスの漫画バンドデシネに強い衝撃を受け、20歳の時に一度フランスを訪れました。30歳になった頃、漠然と抱いていた「海外で暮らしたい」という思いが強まりワーキングホリデー制度を利用し、一年間フランスで生活をしました。

 

■フランス人からも高い評価を得ている漫画ですが、描く時に気をつけていることはありますか。

 日本の雑誌に連載していますが、将来的なフランスでの出版も目標にしているのでフランス人読者のことは頭の片隅に意識しながら描いています。フランス人読者にも伝わるように、フランス語への翻訳が難しい日本語のシャレや言葉遊びは避けたり、日本人にしかわからないような人名には注をつけて解説を加えたりしています。

 また、日本に関心が高いフランス人の友人がいたので、フランス人が日本をどう思っているかをよく聞いて、日仏双方からの視点で笑いを探すようにしました。

 

■日仏の日常生活の違いをユーモアたっぷりに描いていますが、ネタはどのように見つけますか。

 ネタは自然と見つかります。日本にいても道に迷ってしまったり電車を乗り違えたりと、何かとトラブルの多い性格なのですが、フランスにいるとそれが強化され失敗も増えてしまいます。海外生活を始めて最初の数ヶ月は誰でも苦労があると思いますが、私も到着後すぐにスリに遭い、高熱と下痢で苦しみました。その時は「ここが底だろう。これ以上悪いことはもう起きない」と思って乗り切りました。そういうネガティブな経験もよいネタになります。

■フランスで生活して気づいたことを教えてください。

 日本では高校で部活をやっていても、会社に就職して働いていても、漫画業界に入ってアシスタントをしていても、常に過酷さに耐え、我慢できる人間が大人だという「根性論」や「気合い」が重視されていましたが、フランスではそういうのがなかったですね。フランス人も頑張る時は頑張りますが、年に一度数週間の長期休暇を必ず取りますし、休みの取り方が違うと思います。

 また妻の指摘で日本社会の奇妙な部分について気づくこともあります。子供が保育園に通っていますが「ママ友」「パパ友」と男女でグループが分かれることはフランス人には不思議に見えるそうです。

 

■学生へのメッセージをお願いします。

 私自身、見たことのないものを見てみたいと思い、学生時代はバックパックでフランスやインドなどへ旅行に行きました。皆さんにも、少々の失敗なら許される若い時期に好きなことをしてほしいです。