スタージュエリーの工房に密着 製作の裏側に迫る

 人々を魅了するジュエリーの世界。繊細で美しいジュエリーの裏には職人たちのたゆまぬ努力と熟練の技術がある。紙面に引き続き、スタージュエリーの工房にお邪魔し、原型師の田辺拓也氏にジュエリーの製作について話を聞いた。

ジュエリー製作はまず、もととなる原型を作ることから始まる。はじめに、デザイナーの作ったデザイン画を基に、地金やワックス(蝋)などで原型を作っていく。二次元の画と立体では見え方の違いがある。試行錯誤してイメージに近づける。さらに、コスト面も考えてデザイナーと相談し実際の型を作り上げていく。

細かい造形を形作るには、高い技術力が必要だ。アルコールランプでワックスを少しずつ溶かし、地道に形作っていく。専門的な道具の他に、紙やすりやたわし、さらには厚紙など様々な素材で出来た道具を使って細かいデザインを立体化する。

「様々な道具を使って細かい部分にも届くように色々なものを試してみる。様々なデザインに対応できるようにと、どんどん道具が増えた」と田辺氏は説明した。

作られた原型をシリコンで型取り、さらにワックスを流し込み、石膏で固めて焼くことで型ができる。デザイン画から、サンプルが出来るまで約2か月かかるという。

型を作るにはやはり経験がものをいう。原型を作るにあたって熱をかける工程では、どうしても収縮が起こる。さらに、石膏の具合が季節や買った時期によって左右され、経験をもとにどれぐらい形が変わるのか予想して作っていく。「ファッションはスピードが命。しかし、丈夫でしっかりしたものを提供することが第一。せっかく買ったジュエリーがすぐ壊れたら、また買おうとは思わなくなってしまう。世代を超えても愛されるジュエリーを作ることこそが大事」と田辺氏は語った。

ひとつのサンプルではなく実際に製品を作るときのことも考えなくてはならない。宝石のカッティングも人の手で行われるため、どうしても石の大きさに微差が生じる。そこで、どんな石でもはまるような型を作るように工夫することで、量産をスムーズに進められるようにするという。

 「原型師はジュエリー製作の中の調整役。色々と工夫して、実際に買うお客様はもちろん、製作に携わる皆が幸せになれるようなジュエリーを作らないといけない」と田辺氏は語った。